終末期患者とのコミュニケーション
終末期。それは、余命の少ない患者が延命治療などを受けず、自身の最期のために悔いなく過ごす期間をいいます。
終末期は診断時期によって分ける事ができ、余命があと○ヶ月と考えられる“前期”。あと○週間と考えられる“中期”。あと○日と考えられる後期。そして間もない頃を“死亡直前期”と、4つの期間に分かれます。
この期間を看るのは、基本的に終末期専門の診療科や自宅療養患者を見守る訪問看護師、介護施設などで働く看護師になるかと思います。
必要とされるケアは、患者に対しては少しでも痛みがなく過ごせるようにする緩和ケア(放射線治療、輸液や輸血など直接的ケアから間接的ケアまで)・褥瘡が出来ないようにするなどといった身体的症状の管理・身体よりも先に心を病んでしまう事を防ぐ精神的ケアが主になります。また、中には身辺整理の手伝いをするという事もあり、患者が心置きなく旅立てるようお手伝いする事が必要となります。
そして、間もなく大切な患者を失ってしまう家族に対しては、医者から受ける病名告知に関する悩み、死の受け入れへの援助を手伝います。
終末期ケアを受けるのは、何も高齢者だけではありません。中には重度の病により、若い人でもこの選択をせざるを得ない事は多々あるものなのです。むしろそれがガンなどであれば、若い人は進行が早く転移もしやすいもの。小児ガンなどであれば先天性のものもあり、家族が受け入れる間もなく小さい体に何本ものメスやチューブが入る姿を見るというのは、家族にとってとても辛いものです。看護師には、患者や家族のそんな辛い気持ちをいち早く察し、支える器量が求められます。
看護師の仕事をしていると、どうしても死というものがつきまといます。終末期の緩和ケアを行っていれば、それに直面するのも日常茶飯事。とても辛く、慣れる事はありません。仕事上患者に感情移入しすぎる事はいけないとされていますが、仲良くさせていただいていた受け持ち患者などであれば、泣いてしまう事も少なくないといえるでしょう。
看護師や医師は泣いていけないといわれていますが、看護師だって人間ですから堪え切れない時は仕方がないと思います。が、ここで次に担当する患者の前などで悲しい顔をするのだけはご法度です。患者は看護師以上に死を意識しているのですから。
1回1回会う事を大切にし、仕事に従事させていただく事に感謝しましょう。